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【朝】

【昼】


おっちゃんよぉ、レッド・ウッド。カフェでの仕事も結構ツライぜ。
なんてったって、食い物が目の前に豊富にあるからよぉ。
おっちゃんよぉ、それでもおれは、この地獄の苦しみに
耐えて、耐えて耐えまくって、３キロの減量に成功してみせるぜ。

「関さん、チキンの照り焼きお願いしま〜す」
恵ちゃん。
おれの気持ち、わかってくれっかなあ？
今、チキンの照り焼きを作ったら、その香りで、おれの腹がどうなっちまうかよぉ。

だがな、それも明日の計量までの試練だぜ。

「関さん、ボクシングの試合っていつなんですか？」
「恵ちゃん、おれの試合、見に来てくれるかい？」
「ぜひ行きたいです！　だって、関さんは毎日毎日ガンバって減量とかしてるんだもの。ゼッタイ負けるわけないもの。そうでしょ？」

恵ちゃん、なんて優しい人なんだ。
「ありがとうよ。あと３キロ、減量しなくちゃならねえんだ。スーパーフェザー級に合格するためには・・・・・・」

「だけど、お腹減ったりしないんですか？　まかない飯とか、食べてるとこ見たことないし」
「減量中は、水も飲まねえんだ」
「すごい！　すごいです。そういう一生懸命な人って、ステキです」

「なに言ってんだい。恵ちゃんの彼氏だって、バンドマンとして、一生懸命練習してんだろ？」
たしか、ドラムだかなんだかだったよな。

「それが、最近ぜんぜん練習してくれないんです。なんだか、冷たくて。でも、私がいけないんです。・・・・・・きっと」

「恵ちゃん・・・・・・自分がダメだって思ってるうちは、どんなに前に進もうと思ったって、ちっとも進めやしねえもんだぜ。自分に勝ってこそ、突き進むことができるってもんさ、いいかい？」

「はい！」

・・・・・・ああ、ちくしょう。
チキンのいい香りがしてきやがったぜ。
そうだ、グリルに顔を近づけて・・・・・・。

よし、この火力なら、かなり汗をかけるぜ。
この照り焼きの甘しょっぱい香りさえ、我慢できれば・・・・・・。
水が飲みてえ。

お…おっちゃんがいつか　言ってた・・・・・・
一度飲んでしまったら…一度食ってしまったら
それまでの減量が苦しければ苦しいほど
・・・・・・もう耐えられんようになる・・・・・・と。

おっちゃん、おれは耐えるぜ。

「関さん、ストイックなんですね」
「ストイック？・・・・・・恵ちゃん、ボクシングってのは、そういうもんなんだぜ」
シュッシュ。
シュッシュ。

ホッホ。

動体視力！

「ほらよ。恵ちゃん、チキンの照り焼き、出来上がったぜ」


【夕】


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