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【朝】


ああ、寒気がする。
節々がギシギシ痛い。
まぶたが重くて、頭が痛い。
つばを飲み込もうとすると、喉が痛い。

だけど、そろそろ起きないと、姉貴が起きてくるころだ。
ああ、頭が痛い。
手が冷たい。

「ちょっと！　サカエのくせに、アタシより遅くまで寝てる気？　信じらんない。早く起きなさいよ！　朝日が昇ると同時に、ここはサカエのベッドじゃなくなって、アタシのソファになるんだからね、もう！」
姉貴のやつ、ソファに座って朝ごはん食べないと機嫌悪くなるっていうんだったら、ボクをソファベッドになんか寝せなきゃいいのに。

ゾクゾクする。
ゲホゲホ！
「姉貴、ボクなんだか風邪ひいたみたいなんだよ」
「バカ！　サカエのくせに風邪なんて、１００年早いよ。じゃあ、アタシの朝ごはんどうすんのよ、まったく」

「・・・・・・つ、作るよ」
ゲホゲホ！

「もう！　咳するんだったら、マスクしてよね。伝染ったらどうすんの？　・・・・・・しょうがないわねえ。じゃあ、アタシも手伝うよ」
「･･････パスタだから、姉貴でも簡単にできると思うんだ。」

「サカエのくせに姉貴でもってなによ、失礼ね！じゃあ、特別にお湯を沸かして、塩を入れるとこまでやってあげるから、あとやって」

それだけ？
全部作ってくれるんじゃないの？
ゲホゲホ！

「なんでもいいけど、やることやったら、寝てていいから」
ええ？！
ボク、具合が悪いっていうのに、まだやらせるの？
なんて人使いの荒い姉貴だ。

うう、とにかく、パスタを作ろう。
鍋は沸騰てるし。
塩は入ってる。 パスタを茹でて、その間にトマトピューレとたまねぎをガーリックオイルで炒めて。
ベーコンがあったはず。

ゲホゲホ！
ああ、冷蔵庫の冷気がボクの身体を包む。
さ、寒い。

パスタを茹でるこの湯気を吸って、喉を潤さないと。
「姉貴、昨日までのブログにきてたコメントには、返事書いておいたから」
「じゃあ、今日更新分にも返事しておいてよ！　それから、ファンレターにも返事書くのサボんないでよ！　サボったら、水風呂に頭っから突っ込ますよ、マジで！」

ぎええ！
鬼だ。
そんなことされたら、ボクは肺炎で死んでしまうよ。

「姉貴、パスタできたよ」
「んー、やっぱおいしそうじゃん」

「おいしい？」
「当たり前じゃない！　アタシが手伝ったんだから」
えー！
ほとんどボクが作ったんじゃないかあ。
ゲホゲホ！

「姉貴、今日も仕事なの？」
「今日は、久々のオフ。真紀とショッピングに行ってくるわ。あの子、ダサいのばっか着てるから、洋服選んでやろうと思ってね」
そんなこと言って、また真紀さんのこともこき使うんだろうなあ。

「じゃあ、アタシそろそろ出かけるから。あとよろしくね。たまにはチャットにも参加してやって。オフでもファンサービスしてるってとこアピールしないといけないから」
姉貴の本性を知らない世間の男たちがかわいそうだ･･････。

ゲホゲホ！
ああ、だめだ。
クラクラする･･････。


【昼】


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