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【朝】


ママがおウチを出て行って、だいぶなるなあ。
パパのこと、ウザイとかキモいって言って、突然いなくなっちゃったから パパ、かわいそうだなあ。

ママは今頃、どうしてるんだろう？
島から出て行ったって、言ってたけど、本当かなあ。
だとしたら、本土に行ったのかなあ。

そしたら、ママ、怖い目に遭ってるんじゃないかなあ。
心配だなあ。

あ、パパが部屋に入ってくる。
眠ってるふりして、パパを喜ばせようっと。
パパ、明日香の寝顔を見るのが好きだから。

足音をたてないようにしてるけど、鼻息でわかるわ。
寝たふりしよ。

パパが、明日香のことジッと見てる。
そろそろ起きてあげようかな。
｢う、うーん・・・・・・パパ、どうしたの？　明日香の部屋で何してるの？｣
｢あ、おはよう、明日香！　なんでもないんだ。ただ、明日香の部屋をもう少し統一感のあるものに模様替えした方がいいんじゃないかと思ってね〜〓｣

え？
また模様替え？
ママがいなくなってから、もう何度目なの？
先週、壁をピンクから水玉模様に変えたばっかりなのに。

パパの趣味は、外国のお姫様が住んでるお城みたいなヤツだって
わかってるんだ。

だって、パパ、この前、近所のプラモデル屋さんで、「カリオストロの城　クラリス姫、幽閉の部屋」っていうの買ってきて、部屋に飾ってたもん。
あれって、お姫様のお部屋でしょ？

あんなお部屋、明日香はいやだなあ。 床に穴が開く仕掛けになってるだよ、あのお部屋！ だけど、そんなこと言ったら、きっとパパは、悲しんじゃうだろうな。
｢明日香、このお部屋で、いいよ｣

ほら、すぐ残念そうな顔する。
こまったなあ。

そうだ！
「パパ、明日香のお洋服選んで！　今日は学校に転校生が来るんだよ」
「そうか！　お洋服か！　よーし、今選んでやるからな〜。どれがいいかなあ。このワンピースもゴスロリっぽくて、明日香に似合いそうだけど、こっちのサマー・カーディガンもかわいいなあ・・・・・・う〜ん。どれも着せてやりたいよ〜」

パパ、とってもよろこんでる。
よかった。
ママのこと、少しは吹っ切れたのかな？

「明日香には、やっぱりこれがいい！　パパがお着替えさせてあげるよ」
「えー、恥ずかしいよ〜」
「・・・・・・そっか。そうだよな。・・・・・・明日香だって、もう一人で着替えくらいできるんだよな・・・・・・パパなんていなくても・・・・・・」

もう、すぐスネるんだもん。
「・・・・・・明日香、やっぱりパパにお着替え手伝ってもらいたいなあ」
「そ、そうか。じゃあ、お着替えしましょうねえ」

パパ、明日香もいなくなったら、どうなるんだろう？
すごくさびしくて、小さくなって、消えてなくなっちゃうかもしれないなあ。

「転校生の子と仲良くなれたらいいね、明日香」
「うん。どんな子が来るのかなあ。明日香、ゼッタイお友達になるよ」
楽しい子だったらいいなあ。
遠慮しないで、好きなことが言い合える、本当のお友達！
そんな子だったら、どんなにステキだろうなあ。

「そうだね。心やさしい明日香なら、きっといいお友達になれると思うよ。・・・・・・だけど、パパともずっとずっとお友達だよ」

こまったパパ。


【昼】

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