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【朝】

【昼】


麗子、オレ、カツラなんだ。
・・・・・・麗子、オレ・・・・・・。

カ・ツ・ラ
たった３文字なのに、言えない。

ヅラだと、２文字か。
そういう話でもないな。
だけど、いつまでも秘密にしておくわけにもいかない。

黙っててバレるよりは。

「タカシ、ありがとう。ノート、助かったよ」
「おう、太。お互い様だからな」
「タカシのノート、細かいトコまで書き込んでるから、すげえな」
「んなことねえよ」

「でさ、タカシ、この落書き、誰の顔描いたんだよ」
え？
なに？

「落書き？」
「ほら、このハゲ」
し、しまった！
消すの忘れてた。
自画像だとは、言えない。

「ああ、こ、これな。これは、幕末の、ほら・・・・・・薩摩藩士、小松帯刀だよ」
「おお、なるほどな」
「テ、テストに出ると思ってさ」
ふう。
切り抜けた。

麗子にデートの約束しなきゃ。

《学校終わったら、展望台に行こうよ》

《(ﾟ人ﾟ)(-人-)ゴメンネ　お稽古があるの》

そうか、今日は稽古の日か。
じゃあ・・・・・・。
《だったら、夜は？》

《(*^-°)v ｵｯｹｪｰ♪》

・・・・・・夜か。
暗闇で、なんとかごまかせるかもしれない。
だけど、夜カツラを取ったら、ホラーだよな。
ううう。

なんか、さっきから暑苦しい視線を感じる。
ぐえ、花田！
なんだよ、こっち見て。

「タカシくーん。タカシくんの夢を桜ちゃんが叶えてア・ゲ・ル〜。キャッ」
「いらねえよ！」
ウインクとかすんなよ。
暑苦しい。

「今日、放課後、水着見に行くんだけど、タカシくんに特別に桜ちゃんの水着選ばせてあげようかなあって」
「なんでオレが、選ばなきゃなんないんだよ。勝手に買えばいいじゃん」 「カワイイ！　タカシくん、テレてる〜」

「テレてねえし」
ヤダヤダ。
今日は、人生最大の難局だっつうのに、花田とは関わりたくない。
さっさと、帰ろう。

「いいから、付き合いなさいよ！　さもないと、そのサラサラヘア、むしりとるわよ」
う。
ものすごい威圧感。
しかも、花田の手がオレのカツラに伸びてきてる！
ま、まずい！

「わ、わかったよ！　行こう！　水着！」
誰かたすけてー。


【夕】


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