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【朝】

【昼】


哲也、今日くらい早く帰ってきてくれないかしら。
亜紀がパパと一緒に誕生日会をこんなにもやりたがっているんだから。

でも、万が一パパが今夜も遅かったり、泊まりだったりしても大丈夫なように、今日は亜紀のやりたいことを存分にやらせてあげよう。
ママと二人きりでも、楽しかったって思ってもらえるように。

「さあ、亜紀、カラオケ唄いＭＡＸに到着！」
「わーい！」

「いらっしゃいませ」
「ママ、お店のお兄ちゃんイグアナみたーい！」
うわあ、本当だ、ここの店員、モヒカンだわ！
すごーい。

あ、いけない。
「ダメよ、亜紀、そんなこと言っちゃ！」
「ごめんなさーい」

「いいっすよ。イグアナってワイルドで、カッコイイから」
「す、すみません」
「７号室へどうぞ」

「はい」
でも、亜紀ちゃんの言うとおり、イグアナにそっくり！
もう、あの店員の顔まともに見られないわ。

「さ、亜紀、歌いたいものドンドン歌ってね」
「わーい！　じゃあ、亜紀は『ガメラマーチ』歌いまーす」

〓ガメラ〓
　ガメラ〓
　つおいぞガメラ
　つおいぞガメラ
　つおいぞガ・メ・ラ〓

　火・水・木・金！
　火・水・木・金！

「うまいうまい！　歌手になれるんじゃない？」
ああ、帝王切開で産まれたばっかりころの亜紀は、
とても小さくて、これで本当に大きくなるのかしらって
思ったし、まして、こんなに上手に歌まで歌えるようになるなんて！
感動だわ。

「じゃあ、次はママ、歌って〓」
「はい。歌いますよ」

〓ハッピバースデー　ツーユー
　ハッピバースデー　ツーユー
　ハッピバースデー　ディア　亜紀ちゃーん
　ハッピバースデー　ツーユー

「わーい！　亜紀のお歌だあ！　やったあ！」
「ママも上手でしょ？」
「うん、今度はパパも一緒に来て、みんなでヂュエットしようね、ママ」

・・・・・・パパとね。
そうね。
哲也と家族３人でどっか出かけることなんて、ほとんどないものね。
「亜紀、今度はラブランド・アイランド歌う！」
「うわあ、亜紀すごいねえ！」

・・・・・・哲也、まさか亜紀の誕生日、本当に忘れてるのかしら？
まさかね。
きっと、私たちを驚かせようとしてんだわ。
そうよ。

「亜紀、カラオケ終わったら、ファミレス行こうか。今日は亜紀の好きなもの注文していいからね」
「やったあ！　ガッサータだあ！」

哲也がいなくても、亜紀が楽しんでくれるように頑張らなくちゃ。

そうだ。
そろそろ喉乾いてきたから、モヒカン兄ちゃんにドリンク注文しよっと。


【夕】


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