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タカシの母は、産後のひだちが悪く、タカシを産んだあと、しばらく寝込んでいたが、あっさりと息を引き取ってしまった。
母の死後、タカシの父は再婚することもなく、男手ひとつで彼を高校まで育てあげた。
タカシの成績はとても優秀で、大学への進学を強く薦められたが、遠く離れた東京へ、父を一人残して行くわけにはいかないと考え、地元の町工場へ就職した。
就職して間もなく、父は借金を苦に自殺してしまった。
正義感の強い父は、会社の負債を肩代わりしたのだった。
タカシは、とうとう独りきりになってしまった。
「なんて、不幸な青年だろう」
天使は、タカシを見てそう思った。
「どうにかして、タカシ君には幸せになってもらいたい!」
しかし、天使にできることは、相手の心をキューピッドの矢で射って、叶わぬ愛を成就させてやることだけだった。
「ああ、私はなんて役立たずな天使なんだろう・・・・・・今の彼に愛する人などいるわけもない・・・・・・」
そうつぶやきながら、天使はタカシの心の中をそっと覗いてみた。
「・・・・・・おや? これは、同じ工場で働く事務員の春子ちゃんじゃないか・・・・・・。そうか、タカシ君は、春子ちゃんのことが好きだったのか!」
天使は、うれしくなって、白い羽根をパタパタやって喜んだ。
「タカシ君が愛する春子ちゃんをその腕にしっかりと抱きしめることができたなら、どんなに幸せだろう! よーし、天使の腕の見せ所だ!」
天使は、タカシと春子が一緒に話しているところを見計らって、キューピッドの矢を春子の胸めがけて射った。
天使の矢は、ピンク色に煌めき、光の尾を引いて、一直線に春子の胸めがけて突き刺さった。
「ハッ!」
春子は、タカシと話しているうち、突然、胸がキュンとするのをおぼえた。
そして、次の瞬間、春子の胸からおびただしい血が噴き出し、床へ滝のようにボトボトを音を立てて滴り落ちた。
「・・・・春子さん! ・・・・・・いったい何が起きたんだ!」
タカシは、血まみれの春子をその腕で、しっかりと抱きしめた。
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